愛と欲望のアラサー

バツイチアラサーの趣味とか仕事とか

コードギアスと私

一番好きなマンガを聞かれると答えに三日間ほど悩みそうだけれど、

一番好きなアニメを聞かれたら、答えは決まっている。

私にとって特別で、圧倒的な存在のアニメ、それがコードギアスだ。

 

一期の頃は、まだ大学生だった。

夜中、友人とメッセンジャーで会話しているといつの間にか始まっていて、

なんとなく毎週観ていたアニメ。

「どっちが受けかな」なんてしょうもないツッコミしかしていなかったアニメが特別なものになったのは、

忘れもしない「血染めのユフィ」の回だ。

 

その前の週も相変わらずメッセンジャーをしていて、いつもの友人と「来週ユフィやばそうだね」なんて軽く話していた。

その翌週。私たちの会話は一時凍りついた。

こんな展開になるなんて…こんなことが起こってしまうなんて…。そのときの衝撃は今も覚えている。

ギアスが暴走したあの回で、私たちもギアスにかかっていたのかもしれない。

 

ただ、そのときは「凄いアニメだ」と思っただけに留まり、

一期最終回の二話が別放送されたときには新社会人となっていたタイミングもあって、そこまで心を持っていかれるようなことはなかった。

 

二期が放送されている間も、毎週録画して観ていたけれど、仕事や環境の変化に追われ、なかなか集中して観たり、感想を言い合うようなこともできなかった。

最終回を初めて観たときの自分の心境も思い出せない。

 

ただ、HDDにはずっと、最終回を残していた。録画データを消せなかった。

まだまだ容量の少ない、DVDしか再生できないHDDには、一年経っても、あの最終話のデータが残り続けていた。

 

そして、転勤した私は当時の恋人とも別れ、時間を持て余していて、なんとなくHDDに残っていたその最終話を視聴した。

正確には、ラスト二話を残していたので、あの二話を観て、そして、転がり落ちた。

 

レンタルショップに行って全話を一気に再視聴し、当時の感想や考察をネットで見て周り、スザルル沼にもハマった。

そのことをmixiで書き散らしていたら、一期の頃メッセンジャーをしていたあの友人も転がり落ちてきて、

放送終了から一年経って、二人して物凄いテンションで語り合うようになった。

 

語り合える仲間ができることは、オタクにとって至上の喜びだ。

しかも、その友人と同じ作品にハマることは数年ぶり、同じCPに至っては初めてのことだった。

 

当時のギアスを取り巻く腐女子界隈は、放送終了一年などと微塵も感じさせないほど大いに盛り上がり続けていて、

個人主催のCPオンリーも開催された。

 

友人と二人で東京に行き、「これが本当にオンリーイベントなの!?」と思うような列に並び、

事前に打合せした通り、二手に分かれて薄い本を買い漁った。

買いたかったオリジナルグッズは売り切れてしまい、それどころかパンフレットも途中で売り切れていた。

 

右も左もギアスを愛し、スザルルを愛する人に囲まれている喜びを感じながら、

薄いのに重すぎる本をまとめていると、友人の用意してきた袋は破れていた。

 

あの頃、私は人生で最も荒んでいて、とにかく毎日ギアスのことを考えることでなんとか毎日心を保つような部分もあった。

仕事がうまくいかないことを会社のせいにし、初めての恋人と別れた寂しさから駄目な男に媚を売り、転勤先の地で友人もいない。

そんな私が現実を忘れ、没頭できたのがコードギアスだった。

 

何か考える余地など挟まないスピーディーで予測不可能な展開。

そして何より、傲慢で高潔なルルーシュの生き様。

 

決して優しいだけのアニメではないのに、あの頃の私は、ギアスがあることで元気でいられた。

 

 

それから数年経ち、仕事も私生活も、ある程度自分でコントロールできるくらいには大人になった。

その間もマンガやアニメが好きなことは変わらず、数多くの作品を観て、友人と盛り上がることもあった。

 

それでも、私も友人も、「一番好きな二次元のキャラクターは」と聞かれたら、「ルルーシュ」と答える。

 

一期を思い出すときも、二期を思い出すときも、その頃の自分を同時に思い出す。

自分とギアスを切り離して考えることなど、もう出来ない。

何よりも特別で圧倒的な作品。それが私にとってのコードギアス

 

 

年をとってしまったこともあって、もうあんな作品に出会うことはないのだろうな、とぼんやり思っていた。

そんなとき、10周年を記念したイベントがあると知って、件の友人と応募するも外れてしまい、それぞれが映画館でライブビューイングに参加した。

 

声優さんたちの生アフレコで振返っていると、数え切れないくらい何回も観たシーンで、今も新鮮に哀しくなり、声をあげて泣きそうになる。

それは両隣の知らないお姉さんたちも同じで、ハンカチで抑えながら、皆で涙を流していた。

私も、友人も、隣の知らないお姉さんも、この10年、それぞれの人生を生きながら、心の片隅にはきっと、ずっとギアスがあった。

 

イベントの終盤、『モザイクカケラ』をバックに、ファンのイラスト作品が流れてきて、それらが一つになり、ルルーシュが形作られた。

そこにはまさに「コードギアスと私」があった。イラストが描けない私の作品はその中には無いのだけれど、確かにその中に私もいた。

あぁ、良いイベントだったな。ずっと好きでいてよかった…。

 

 

と感慨に浸っていたらあの発表である。

この年月を、あの完璧に完結した作品と、あのエンディングをもって、寄り添って生きてきたつもりが、復活って!!!

大いに戸惑いもあるが、やっぱこれでこそコードギアスだなぁと思わせてくれる。

もう決まったことなので、楽しみに待ちたいと思う。撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけだって、10年前から言われているし。

 

 

イベントの感想やら、新作発表に今思うことやらを覚えておきたい、何より「コードギアスと私」に参加できなくて寂しかったので、せめて文章にしたい、

と思っていたのに、イベントからずいぶん日も経ってしまいました。

(今の娘さんたちは「メッセンジャー」とか「個人主催オンリーイベ」とかご存知なのでしょうか。)

とにかく、大きな期待と不安という、いつもの心境で、新作お待ちしたいと思っています。